ビジネスマナーは簡単にマスターできる
就職活動真っ最中のみなさんにとっては、就活中のさまざまな場面でビジネスマナーを気にする機会も多いのではないでしょうか。
電話をかけるとき、メールを送るとき、エントリーシートや履歴書の記入もそうですし、企業を訪問する時など、さまざまな場面でマナーを意識する機会が増えたのではないかと思います。そしてマナーは難しいと感じることが多いことでしょう。
その理由の一つとして、マナーは「シチュエーションによって異なる」ということがあります。
例えば、江戸時代と現代ではマナーが異なります。日本とほかの国でもそうですし、育った環境や家庭によってもマナーが異なったりと、自分がどんな社会に属しているかによって変わることがあります。
学生のみなさんにとっては、あたり前のことも、ビジネスではマナー違反だったりするから、難しいと感じてしまうのです。
しかし、あることをマスターしてしまえば、マナーは、とても簡単です。
マナーは気持ちの表れ
イギリスのウィリアム王子がとった行動で有名なお話があります。
公式な場所で、男性がジャケットを着用するのはマナーだということはみなさんもご存じでしょう。
あるとても暑い日に行事がありました。その公式の場で、王子は、突然、ジャケットを脱ぎました。その姿を見て、次々にまわりの人もジャケットを脱ぎ、暑さから解放されたということがありました。その後ウイリアム王子は、マナー人と呼ばれて、賞賛されました。
前述のとおり、男性が公式な場所でジャケットを着用することは、マナーです。それなのになぜ、多くの人々は公式の場所でジャケットを脱いだウィリアム王子のことを、マナーの人と呼び、褒めたたえたのでしょうか。
それは、ウィリアム王子がとった行動が、「まわりの人を思いやった行動」だったからです。王子は、ジャケットを脱ぐことがマナー違反であることを知りながらも、暑くて暑くてしかたないといった、まわりの人々の気持ちを考えて、王子である自分が、自ら型破りな行動をとれば、「みんなも脱ぐといい」というサインになると思ったのです。
マナーの良い人は好印象
この逸話からもわかるように、マナーとは決して“きまり”とか“ルール”ではありません。
マナーとは、“思いやり”とか“気遣い”といった気持ちが、言葉や行動としてあらわれたものなのです。
「思いやりの気持ちが言葉や行動になったのがマナー」ですから、暑い日の行事で、暑いのをがまんしてジャケットを着続けることよりも、まわりの人のことを気遣ってジャケットを脱ぐことの方が「マナーの良い」行動です。
あることをマスターしてしまえば、マナーはとても簡単と書きましたが、その“あること”とは、「マナーは“思いやり”や“気遣い”といった気持のあらわれなんだ」ということを理解することです。
これを理解していれば、マナーの基礎は十分です。
まわりの人を気遣い、思いやって行動すれば、自然と感じの良い人と思われるようになります。
それは、文化が違っていても、年齢が違っていても、時代が変わったとしても、同じことが言えます。まわりの人に「感じの良い人だと思わせる人」は、まわりの人への思いやりを持っている人、つまり「マナーの良い人」だと言えます。
このマナーの大原則を無視して、マナーをアレコレ頭でインプットしようとするから、マナーが難しく感じてしまうのです。
マナーの基本は「“思いやりの気持ち、相手を気遣う気持ち、を言葉や行動にする”こと」なんだということをよく覚えておくとよいでしょう。
それができたら、手紙やメールの書き方、敬語の使い方、文化によって異なるマナーなどの“技術”を覚えて、実践できるように努力しましょう。
マナーの基本は“思いやりの気持ち、相手を気遣う気持ち、を言葉や行動にする”ことなんだ、ということがわかっていれば、もしも、マナーで困った時は、相手に失礼のないようにとか、こうしたら相手が喜んでくれるんじゃないか、とか、ご自分の経験とか価値観で何が正しいか、ご自分なりの判断すればいいのです。
最後はみなさんの経験、価値観で決まります。
ぜひ、いろいろな経験を積んで、マナー上級者を目指してください。
(第2回に続く)
2011.09.05 長野知鶴 (キャリアコンサルタント|人事・人材開発|教育研修|産業カウンセラー)
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